旅の記憶 ― 万里の長城


旅の記憶 ― 万里の長城

これまで仕事や旅で、
いろいろな場所に行った。

都市もあれば、
建築もあれば、
自然の風景もあった。

少し現代建築の話から離れて、
これまで見てきた遺産を
振り返ってみたいと思う。

その最初に思い浮かぶのが、
万里の長城だ。


北京から北へ

万里の長城は、
中国の北部に築かれた巨大な構造物だ。

北京からさらに北へ進む。

都市の風景が少しずつ変わり、
山が近づいてくる。

その山の稜線に沿って、
長城は続いている。

モンゴルとの境界に沿うように築かれた防壁。

地図で見ると、
一本の線のように見える。

しかし実際にその場所に立つと、
その印象はまったく違う。


スケールという感覚

万里の長城のスケールは、
言葉ではなかなか表現できない。

長さはおよそ2万キロ。

もちろん、
それをすべて歩くことなどできない。

そもそも、
歩いて走破しようという発想自体が
どこか現実的ではない。

ただ目の前にあるのは、
終わりの見えない構造物だ。

山の上を、
ただひたすら続いている。


歩いてみる

実際に長城の上を歩いてみる。

石でできた道。
階段。
ところどころにある見張り台。

観光地として整備されている部分もあるが、
それでも足元は決して平坦ではない。

勾配もある。

歩いていると、
この構造物が単なる「壁」ではないことがわかる。

山の地形に合わせて、
柔軟に形を変えながら続いている。

構造として考えると、
極めてシンプルでありながら、
圧倒的なスケールを持っている。


手すりの高さ

歩いていて、
少し気になることがあった。

手すりが低い箇所もあったり。

現代の感覚で見ると、
やや心許ない高さだ。

場所によっては、
そのまま外側に出てしまいそうな気がする。

もしここで突風が吹いたらどうなるのだろう。

ふと、そんなことを考える。

外側は斜面だ。

モンゴル側に落ちたら、
簡単には戻れないだろう。

そんな想像をすると、
少しだけ足が止まる。


2300年という時間

万里の長城は、
およそ2300年前に築かれたとされている。

もちろん、
すべてが当時のままではない。

修復や再建も行われている。

それでも、
これだけの構造物が
これだけの時間を超えて残っている。

それ自体が驚きだ。

現代の建築でも、
数十年、数百年先を考える。

しかし2300年という時間は、
そのスケールを大きく超えている。


構造という視点

構造設計の視点で見ると、
この建造物は非常に興味深い。

特別な材料が使われているわけではない。
高度な解析があったわけでもない。

しかし、
シンプルな構造が
長い時間に耐えている。

厚い壁。
連続する構造。
地形に沿った配置。

複雑ではないが、
理にかなっている。


人がつくったもの

万里の長城は、
人がつくった構造物だ。

それも、
膨大な時間と労力をかけてつくられた。

山の上にこれだけの構造物を築く。

その発想と実行力。

現代の建築とはまた違う、
別のスケールの仕事だと思う。


旅という視点

旅をしていると、
ときどきこういう場所に出会う。

ただ「見る」というよりも、
「感じる」場所。

スケール。
時間。
人の営み。

万里の長城は、
そういうものが重なった場所だった。


まとめ

万里の長城は、
単なる観光地ではない。

圧倒的なスケール。
長い時間。
そして構造。

それらが重なって、
独特の存在感を持っている。

現代の建築とは違うが、
構造という視点で見ても
多くのことを感じる場所だった。


リンク

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