初めて見た海外の巨大構造物

初めての海外出張はニューヨークだった。

飛行機が大西洋を越え、長いフライトのあとに降り立った空港がJFK空港だった。

初めて海外の巨大都市に降り立ったときの感覚というのは、今でもはっきり覚えている。

まず感じたのは「大きい」ということだった。

空港のターミナル。

滑走路の広がり。

人の多さ。

すべてのスケールが、それまで自分が見てきたものよりも一段階大きかった。

建築の仕事をしている人間にとって、都市のスケールというのは強烈な印象を残す。

その意味で、ニューヨークという都市は最初の海外としては十分すぎるほどの衝撃だった。


マンハッタンという風景

空港から車でマンハッタンに向かう。

しばらく高速道路を走ると、遠くにビル群が見えてくる。

それがマンハッタンだった。

最初にその景色を見たとき、奇妙な感覚を覚えた。

巨大な軍艦に向かって進んでいくような感覚だった。

ビル群が一つの巨大な構造物のように見えたのだ。

都市というよりも、

巨大な人工物。

それがマンハッタンという都市の第一印象だった。


摩天楼という構造

ニューヨークの摩天楼は、写真では何度も見ていた。

しかし実際にその下に立ってみると、印象はまったく違う。

ビルは空に向かって立ち上がり、

その密度が街をつくっている。

高層建築というのは、単に高さだけの問題ではない。

都市の空間そのものを変えてしまう力を持っている。

建物が都市を形づくる。

そんなことを実感させる場所だった。


ロックフェラーセンター

マンハッタンに着いて、最初に強い印象を受けた場所の一つがロックフェラーセンターだった。

ビルの下に立ち、上を見上げる。

高層ビルの下から空を見上げると、建物が空を切り取っているように見える。

空の形が、建物によって決まっている。

都市の空間というのは、

建物によってつくられるものだということがよくわかる。

そのとき、なぜか妙なことを考えた。

「いつかこのビルのてっぺんをつかむ」

もちろん意味のある目標ではない。

ただ、若い頃にはそういう妙なことを考えることがある。

巨大な建築を目の前にすると、人は時々そんな気持ちになるのかもしれない。


シカゴのビル群

ニューヨークだけでも十分に衝撃的だったが、

そのあと訪れたシカゴもまた強烈な都市だった。

シカゴは高層建築の歴史の中で重要な都市だ。

摩天楼の発祥の地とも言われている。

都市の中に入ると、

ビル群のスケールに圧倒される。

建物の高さだけでなく、構造の力強さのようなものが感じられる。

高層建築が都市の景観そのものになっている。

そんな印象だった。


シアーズタワー

当時、シカゴで最も印象的だった建物はシアーズタワーだった。

現在はウィリスタワーと呼ばれているが、

当時は世界一高いビルとして知られていた。

その巨大さは圧倒的だった。

建物はただ高いだけではない。

構造のまとまりが美しい。

チューブ構造という構造形式。

それがこの建物の骨格になっている。

構造が建物の形を決める。

構造設計の仕事をしている人間にとって、

この建物は特別な意味を持つ建築だった。

巨大構造物という体験

巨大な構造物を初めて見るとき、人は少しだけ感覚を失う。

大きすぎて、

距離感がつかめない。

建物のスケールが人間の感覚を超えている。

高層建築や巨大構造物には、そういうところがある。

人間がつくったものなのに、

どこか自然の地形のようにも見える。

都市が巨大な構造体のように感じられる瞬間がある。


構造設計という視点

あの頃は、まだ若かった。

構造設計という仕事を続けていくことになるのかどうかも、

まだはっきりとはわかっていなかった。

ただ巨大な建築を見て、

素直に驚いていた。

今なら、

あの建物がどのような構造なのか、

ある程度は想像できる。

柱や梁の配置。

構造形式。

力の流れ。

しかし当時はただ

「すごい建物だな」

そう思っただけだった。

初めての巨大構造物

海外で初めて見た巨大構造物。

それは単なる観光の記憶ではない。

都市のスケール。

建築の力。

構造の美しさ。

そういうものを、初めて体で感じた体験だったのかもしれない。

建物というのは、

静かにそこに立っている。

しかしその背後には、

多くの技術と計算がある。

巨大な構造物を見るとき、

そのことを少しだけ思い出すことがある。

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