旅の記憶 ― バルセロナ

旅の記憶 ― バルセロナ

バルセロナは、
何度か訪れた街だ。

建築を好きな人間にとって、
あの街は少し特別な場所だと思う。

ガウディ。
カラトラバ。
歴史ある街並み。

歩いているだけで、
建築が次々と現れる。

しかし不思議なことに、
この街の記憶として最初に浮かぶのは、
有名建築だけではない。

日曜日の朝に飲んだ
ホットチョコレートの温度だったりする。


最初のバルセロナ

最初に訪れたのは、
たしか1998年頃だった。

当時のサグラダ・ファミリアは、
今とはまるで違っていた。

予約など必要なかった。

普通に行って、
普通に入れた。

今のような観光客の波もまだない。

塔も、
たしか4基程度だったと思う。

そしてその頃、
よく言われていた。

「完成まであと100年」


100年後

その話を聞いたとき、
正直よくわからなかった。

なぜそんなに時間がかかるのか。

もちろん、
巨大な建築だということはわかる。

しかし100年という時間は、
あまりにも遠かった。

「100年後なんて、生きていないな」

そんなことを考えていた。


2026年という現実

ところが今、
2026年にはほぼ完成と言われている。

あの頃の感覚からすると、
少し信じられない。

建築というものは、
時々こういう時間の飛び方をする。


2020年の衝撃

2020年頃に、
再びサグラダ・ファミリアを訪れた。

その時の衝撃を今でも覚えている。

20年前に見ていた建物。

あれは、
完成形のほんの一部に過ぎなかった。

当時見えていたものは、
巨大な建築のファサード部分だったのだ。

後ろには、
さらに圧倒的な空間が広がっていた。


内部空間

内部に入ると、
まるで森の中のようだった。

柱が樹木のように枝分かれし、
光が天井から落ちてくる。

ガウディの建築は、
単に形が独特なのではない。

構造と空間が、
完全に一体になっている。


観光地になった建築

しかし、
街の空気は変わっていた。

観光客で溢れていた。

内部見学には予約が必要。

昔のように、
ふらっと入ることはできない。

それだけ、
世界中の人が訪れる建築になったということだろう。


カラトラバ

バルセロナでは、
カラトラバの建築も印象的だった。

世界的に有名なエンジニア。

中には、
「彼は建築家だ」という人もいる。

確かに、
彼の作品は構造物というより
彫刻に近いことがある。


構造の美しさ

カラトラバの建築は、
とにかく美しい。

どちらかというと、
橋梁や大スパン構造など、
土木スケールの建築が有名だ。

白い骨格。
伸びるような曲線。

構造そのものが
デザインになっている。


普通の街の中にある

ただ面白かったのは、
そうした作品が普通の住宅街の中に
さらっと存在していることだった。

小さな橋。

日本なら、
「名建築」として特別扱いされそうなものが、
街の日常の中に普通にある。

その感覚が新鮮だった。


バルセロナという街

バルセロナは、
観光地であることに誇りを持っている。

そして、
観光地であることに慣れている。

街全体が美しく整備されていて、
歩いていて気持ちがいい。

人を受け入れることに、
街そのものが慣れている。

そんな印象があった。


日曜日の朝

バルセロナでは、
友人の実家に泊めてもらったこともある。

ある日曜日の朝、
お父さんが散歩に誘ってくれた。

まだ静かな街を歩く。

途中で、
ホットチョコレートとチュロスを買う。

家に戻る。

それが、
家族の日曜日のおきまり朝食だった。

そしてそれは、
いつもお父さんの役割なのだと言っていた。


旅の記憶

旅の記憶というのは、
不思議なものだと思う。

有名建築よりも、
そういう小さな風景が残ることがある。

朝の空気。
パン屋の匂い。
家族の習慣。

そういうものが、
街の印象をつくっていく。


まとめ

バルセロナは、
建築の街だ。

ガウディ。
カラトラバ。
歴史ある都市空間。

しかしその魅力は、
建築だけではない。

街の空気。
人の暮らし。
日曜日の朝。

そういうものも含めて、
バルセロナという街なのだと思う。


内部リンク

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