構造設計士の年収という話
職業の話になると、人はどうしても年収の話をしたがる。
どれくらい稼げるのか。平均はどのくらいなのか。将来はどうなるのか。
構造設計の仕事についても、同じような質問を受けることがある。
「構造設計士って、年収はどれくらいなんですか?」
少し答えにくい質問でもある。というのも、この仕事は会社や経験によって収入の幅がかなり大きいからだ。
それでも目安として言うならば、構造設計に携わる技術者の年収は、おおよそ次のような水準になることが多い。
20代では400万円から600万円程度。
30代から40代になると600万円から900万円ほど。
管理職やベテランクラスになると、1000万円を超えることもある。
もちろん、これはあくまで一般的な目安であって、すべての人がこの通りになるわけではない。会社の規模や役職、担当するプロジェクトによって、年収は大きく変わる。
日本の平均年収と比べる
構造設計士の年収を考えるとき、日本全体の平均年収と比べてみると分かりやすい。
国税庁の統計によれば、日本の平均年収はおおよそ450万円前後と言われている。
それと比べると、構造設計に携わる技術者の収入は、平均より少し高い水準にあることが多い。
ただし、建築業界は会社による差が大きい業界でもある。
設計事務所、ゼネコン、エンジニアリング会社など、どこに所属するかによって収入の傾向はかなり変わってくる。
勤務先による違い
構造設計士の年収を考える上で、勤務先の違いは無視できない。
設計事務所で働く場合、年収は会社の規模によってかなり差がある。
小規模な事務所では決して高い収入とは言えないこともあるが、その代わりに幅広い設計経験を積めることが多い。
一方、大手ゼネコンの設計部門では、比較的安定した収入を得られる場合が多い。
大規模プロジェクトに関わる機会も多く、設計者としての経験の幅も広がる。
また、構造設計を専門とするエンジニアリング会社では、特殊構造や大規模建築を扱うこともあり、専門性の高さが評価されることもある。
空港やスタジアム、超高層ビルといった建築に関わる機会があるのも、この分野の特徴だ。
年収が上がる理由
構造設計の年収が比較的高い理由の一つは、専門性の高さにある。
建築の世界には多くの仕事があるが、その中でも構造設計はかなり専門的な分野だ。
構造力学、材料力学、建築構造などの知識が必要であり、実務経験を積みながら技術を身につけていく必要がある。
さらに、日本は地震が多い国でもある。
建物の安全性を確保するためには、構造設計の役割が非常に重要になる。
つまり、この仕事は「責任が大きい」分野でもある。
年収を上げる要素
構造設計士として年収を上げるためには、いくつかの要素がある。
まず一つは資格だ。
代表的な資格には次のようなものがある。
・一級建築士
・構造設計一級建築士
・技術士(建設部門)
ただし、資格だけで年収が決まるわけではない。
実際には、どのような建物を設計してきたかという経験が大きく評価される。
住宅、オフィスビル、商業施設、スタジアム。
扱う建物の規模や種類が広がるほど、設計者としての価値も高くなっていく。
構造設計という仕事の本当の価値
年収の話をすると、どうしても数字だけに目が行きがちになる。
だが、構造設計という仕事の価値は、それだけでは測れない。
建物は完成すると、何十年もそこに立ち続ける。
多くの人がその建物を使い、日常の風景が生まれていく。
その建物が安全に使われているという事実そのものが、構造設計の成果とも言える。
建物の外観が注目されることはあっても、その骨格を設計した人の名前が知られることはほとんどない。
それでも、建物が静かにそこに立っている限り、構造設計の仕事は確かにそこに存在している。
まとめ
構造設計士の年収は経験や勤務先によって幅があるが、建築業界の中では専門性の高い職種として評価されている。
しかし、この仕事の価値は単に収入だけでは測れない。
建物の安全性を支え、人々の生活を支えるという意味で、社会的な役割の大きい仕事でもある。
このブログ「構造設計士の視点。」では、構造設計の仕事や建築の現場について、実務の視点から少しずつ紹介していきたいと思う。
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