構造設計にスケール感はなぜ重要か
構造設計という仕事は、
数字を扱う仕事だ。
荷重。
応力。
変形。
すべてが数値で表される。
しかしその一方で、
数字だけでは成立しない仕事でもある。
そこには、
「感覚」が必要になる。
単位が変わるということ
日本で構造設計を始めた頃、
単位はkgやtだった。
荷重も、
断面も、
すべてその感覚で捉えていた。
ところがアメリカに行くと、
単位はまったく違う。
lb。
inch。
feet。
kips。
最初は戸惑った。
数字の大きさが、
まるで違って見える。
頭の中の換算
そのとき、
自然にやっていたことがある。
頭の中でkgに換算することだ。
この値は、だいたい何kgくらいか。
この断面は、どれくらいの強さか。
そうやって、
自分の感覚に引き戻す。
そして日本へ
その後、日本に戻ると、
今度は単位がNやkNになっていた。
また変わる。
また慣れる。
そしてまた、
頭の中で換算する。
単位は変わっても、
感覚は同じままだ。
スケール感というもの
構造設計において、
スケール感はとても重要だと思う。
細かい計算の前に、
まず大まかに判断する。
「これは大きすぎる」
「これは小さすぎる」
「何か違う」
その感覚があるかどうか。
それが、
設計の質を大きく左右する。
違和感に気づく力
設計のミスは、
最初は小さな違和感として現れることがある。
数値は合っている。
計算も通っている。
それでも、
どこか引っかかる。
そのときに立ち止まれるかどうか。
スケール感があると、
その違和感に気づきやすくなる。
海外で働くということ
いろいろな国で働くと、
その感覚が少し揺らぐ。
単位が違う。
材料が違う。
設計の考え方が違う。
それは、
欠点のようにも感じることがある。
しかし同時に、
それは一つの「振り」でもあると思う。
設計は現場と切り離せない
構造設計は、
図面の上だけで完結するものではない。
実際に施工されて、
初めて意味を持つ。
そのためには、
施工者のスキルを理解する必要がある。
普段どんな方法で施工しているのか。
どの程度の精度が出せるのか。
そうしたことを考えずに設計すると、
図面は成立しても現場では成立しない。
確実な方法という考え方
新しい工法を開発する場合は別だが、
通常の設計では
確実な方法を選ぶことが重要になる。
実績のある方法。
慣れている工法。
その中で、
どこまで工夫できるか。
設計とは、
無理をすることではなく、
成立させることだ。
郷に入っては郷に従う
国が変われば、
常識も変わる。
設計の考え方も、
施工の方法も、
使う材料も違う。
その中で設計をするには、
その国の事情を理解する必要がある。
郷に入っては郷に従う。
単純な言葉だが、
設計の現場でも同じだと思う。
理想と現実
設計には理想がある。
こういう構造にしたい。
こういう形を実現したい。
しかし現実には、
コストや施工の制約がある。
その中で、
どこまで実現できるか。
理想と現実のバランスを取る。
それが設計という仕事だと思う。
まとめ
構造設計において、
スケール感は非常に重要だ。
単位が変わっても、
その感覚は変わらない。
むしろ、
さまざまな環境を経験することで
その感覚は磨かれていく。
そして設計は、
現場と切り離しては成立しない。
施工者のスキル。
その国の常識。
現実の制約。
そうしたものを踏まえながら、
最適な解を見つけていく。
それが構造設計という仕事の、
一つの本質なのかもしれない。
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