構造設計士と資格
建築の仕事の話をしていると、よく聞かれる質問がある。
「構造設計士になるには、どんな資格が必要なんですか?」
この質問は、少し答え方が難しい。
というのも、「構造設計士」という資格があるわけではないからだ。
一般に建築設計に携わる人は建築士と呼ばれる。
その中で構造設計を専門にしている人を、ここでは構造設計士と呼んでいる。
つまり構造設計士とは、資格の名前ではなく、建物の構造設計を専門とする技術者の呼び方なのである。
それでも構造設計の仕事をする上で、重要な資格はいくつか存在する。
一級建築士
構造設計に関わる人の多くが取得を目指す資格が、一級建築士である。
建築士は日本の建築制度の中心にある資格であり、建築設計や工事監理を行うために必要になる場合が多い。
建築士には
・二級建築士
・一級建築士
の二つの資格があるが、大規模な建築物を扱う設計者の多くは一級建築士を取得している。
一級建築士試験は難関資格として知られており、学科試験と設計製図試験の二段階で行われる。
構造設計を専門にする人であっても、この資格を取得することで建築全体を理解する視点が身につく。
資格取得にかかる時間
一級建築士の資格は、日本の国家資格の中でも難易度の高い資格として知られている。
試験は大きく二つに分かれている。
学科試験と設計製図試験である。
学科試験では、建築計画、建築構造、建築施工、法規など幅広い知識が問われる。
そのため受験者の多くは、長い時間をかけて準備をする。
一般的に合格までに必要な勉強時間は、1000時間前後と言われることが多い。
人によっては数年かけて合格するケースも珍しくない。
構造設計を専門にする人にとっても、この資格は決して簡単なものではない。
構造設計一級建築士
構造設計の分野で、さらに専門性の高い資格がある。
それが構造設計一級建築士である。
この資格は、一定規模以上の建築物の構造設計を行う場合に必要となる資格で、取得には一級建築士の資格と実務経験が必要になる。
つまり、構造設計一級建築士は、建築士の中でも特に構造設計の専門性を持つ技術者の資格と言える。
取得するには講習や修了考査があり、構造設計の実務経験が求められる。
そのため、この資格を持つ設計者は建築業界の中でも高度な専門技術を持つ存在と見られることが多い。
技術士(建設部門)
構造設計の分野では、技術士という資格を取得する人もいる。
技術士は国家資格であり、科学技術分野の高度な専門家を認定する制度である。
建設部門の中には構造分野も含まれており、構造設計の技術者が取得することもある。
この資格は試験の難易度が非常に高く、長い実務経験と高度な専門知識が必要になる。
多くの受験者が通う資格学校
一級建築士試験は独学で合格する人もいるが、実際には資格学校に通う受験者も多い。
建築業界では
・日建学院
・総合資格学院
といった受験対策の学校がよく知られている。
仕事をしながら受験する人が多いため、夜間講座や週末講座なども用意されている。
長い期間、仕事のあとに勉強を続けることになる。
多くの設計者にとって、この試験は一つの大きな節目でもある。
資格と実務経験
建築の世界では、資格は重要な要素の一つである。
しかし、資格だけで設計ができるわけではない。
実際の建築プロジェクトでは、経験が非常に大きな意味を持つ。
どのような建物を設計してきたのか。
どのような構造形式を扱ってきたのか。
どのようなプロジェクトに関わってきたのか。
そうした経験の積み重ねが、設計者としての実力につながっていく。
構造設計の専門性
構造設計という分野は、建築の中でも特に専門性が高い。
構造力学
材料力学
建築構造
耐震設計
こうした知識をもとに、建物の安全性を検証していく。
さらに日本では地震が多いため、耐震設計の技術が非常に重要になる。
建物は完成すると静かにそこに立っている。
しかし、その裏側には多くの計算と検討が積み重なっている。
構造設計の仕事は、その見えない部分を支える仕事でもある。
資格だけでは語れない仕事
建築の世界では、資格は重要な要素ではあるが、それだけですべてが決まるわけではない。
設計者としての経験。
プロジェクトでの判断。
他の設計者との議論。
そうした日々の積み重ねの中で、構造設計者としての力が育っていく。
資格は、その入り口の一つに過ぎないとも言える。
まとめ
構造設計士という資格があるわけではないが、構造設計に関わる技術者にとって重要な資格はいくつかある。
・一級建築士
・構造設計一級建築士
・技術士(建設部門)
しかし建築の世界では、資格だけでなく実務経験も同じくらい重要である。
建物の骨格を設計するという仕事は、長い経験と知識の積み重ねによって成り立っている。
このブログ「構造設計士の視点。」では、構造設計という仕事について、現場の視点から少しずつ紹介していきたいと思う。
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