構造設計の魅力
建物は静かにそこに立っている。
街の中で人はその建物を見上げ、
あるいは気にも留めず通り過ぎていく。
しかし、その建物の骨格を考えた人がいる。
構造設計という仕事は、
そういう建物の裏側に関わる仕事だ。
では、構造設計という仕事の魅力とは何だろうか。
それは意外と、
建物そのものだけではない。
20年前のプロジェクト
数年前に、後輩の結婚式に招かれた。
会場に着いたとき、
ふと見覚えのある建物だと思った。
それもそのはずだった。
その建物は、
自分が20数年前に設計に関わったプロジェクトだった。
もちろん、自分が設計した建物は数多くある。
しかしその建物が、誰かの人生の節目の場所になる。
そういう瞬間に立ち会うと、
この仕事を選んでよかったと思う。
建築という仕事には、
そういう時間の重なりがある。
建物は長く残る
建物は長く残る。
設計をしているときは、
目の前の図面や計算に集中している。
しかし建物が完成すると、
その建築は街の一部になる。
人が集まり、
時間が流れ、
さまざまな出来事がそこで起こる。
結婚式もその一つだ。
20年前の図面の上にあった建物が、
今は誰かの人生の舞台になっている。
それは設計という仕事ならではの
面白さかもしれない。
世界中の人とつながる
構造設計という仕事をしていると、
多くの人と関わることになる。
建築家。
設備設計者。
施工会社。
クライアント。
場合によっては海外の設計者とも仕事をする。
プロジェクトというのは、
一つのチームで進んでいく。
そしてそのチームは、
時には国境を越える。
気がつけば、
世界のいろいろな場所に知り合いができている。
構造設計という仕事は、
そういう広がりを持った仕事でもある。
クライアントとの時間
クライアントとの打ち合わせも、
この仕事の特徴の一つだ。
打ち合わせは時に長くなる。
設計の方向性。
コスト。
安全性。
さまざまなことを話し合う。
もちろん仕事としての打ち合わせだが、
そこには少し特別な時間が流れる。
出張先で、
打ち合わせの合間にふと入った店。
その店の店員との会話とは、
やはり少し違う。
建物という一つの目標に向かって
長い時間を共有する。
そこには独特の濃さがある。
建築家との協働
構造設計の最大の魅力は、
いろいろな建築家と協働できることかもしれない。
建築家は建物の形を考える。
構造設計者は
その建物を成立させる骨格を考える。
建築のプロジェクトでは、
この二つが密接に関わる。
時には建築家のアイデアが
大胆すぎることもある。
大きな屋根。
広いスパン。
特殊な形。
そのアイデアを
どうやって成立させるか。
そこに構造設計の仕事がある。
そしてその過程は、
実に面白い。
解析には答えがある
構造設計には
もう一つの特徴がある。
それは、
解析には答えがあるということだ。
建物にどのような力がかかるのか。
その構造が安全なのか。
計算によって検証する。
建築の世界には
答えのない問題も多い。
しかし構造設計には、
ある程度の答えが存在する。
それがこの仕事の
一つの魅力でもある。
いろいろな場所へ行く
設計という仕事をしていると、
出張も多くなる。
現場。
打ち合わせ。
調査。
さまざまな理由で
いろいろな場所に行く。
個人的には、
出張はできるだけ日帰りにしない方がいいと思っている。
少し時間をつくって
街を歩いてみる。
建物を見る。
街のスケールを見る。
そういう時間が
設計のヒントになることもある。
街を見る
設計という仕事は、
図面の上だけで行われるわけではない。
街を見ることも大切だ。
その土地の建築。
人の動き。
都市のスケール。
そういうものを見ていると、
設計のアイデアが浮かぶこともある。
出張先で
少しだけ街を歩く。
それだけでも、
設計の視点は広がる。
構造設計という仕事
構造設計という仕事は、
派手な仕事ではない。
建物の外観に名前が出ることも少ない。
しかし建物の骨格を考える。
それは建築にとって
非常に重要な仕事だ。
建物が街に残り、
人の時間と重なっていく。
その裏側に関わることができる。
それが構造設計の魅力なのかもしれない。


コメント